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新宿歴史博物館で企画展「路面電車と新宿風景」 歴史ある路面電車を写真と資料で展示

「新宿歴史博物館」展示の様子。歴史、文学、写真の3つの切り口から路面電車を懐古する

「新宿歴史博物館」展示の様子。歴史、文学、写真の3つの切り口から路面電車を懐古する

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 新宿区立新宿歴史博物館(新宿区四谷三栄町、TEL 03-3359-2131)で現在、企画展「路面電車と新宿風景」が開催されている。

「新宿歴史博物館」展示入り口

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 「東京さくらトラム」の愛称で親しまれる現在の都電荒川線(三ノ輪橋~早稲田)だが、昭和40年代に廃止されるまで、東京都心には多くの路面電車が存在した。企画した学芸員の芦崎泰彦さんは「かつて東京都民の足は路面電車が主流だった。昨年は東京都交通局の110周年。歴史ある路面電車を改めて今振り返ってもらうことで、当時に思いをはせるとともに、これからの乗り物のことを考えるきっかけになればと企画した」と話す。

 同展は、東京都電の前身となる東京市電が誕生した1911(明治44)年から、東京の路面電車を歴史・文学・写真の3つの切り口から懐古する。貴重な文献や写真などを展示し、運行当時の新宿、飯田橋や四谷かいわいの風景も見られる。「明治政府による日本初の鉄道が1869(明治2)年に開業されてから、さまざまな歴史的背景を経て東京市電は誕生した。戦前から戦後まで、都民に親しまれた様子が、当時の写真などから分かる。神楽坂や新宿かいわいは繁華街となっていたこともあり、鉄道網も特に発展していた。新宿区に居住する文学者も多く、夏目漱石などの作家の作品には、路面電車が物語に登場する。それほど親しまれていた路面電車だが、昭和40年ごろの高度経済成長期に、車の普及や地下鉄建設の影響を受けて、現在の都電荒川線区間を除いて廃止された」と芦崎さん。

 現在の都電荒川線も身近に感じられるよう、展示の一環として東京都交通局荒川電車営業所の野浦 重男さんが描いた沿線風景画や、実際の電車走行動画なども見ることができる。「この展示を企画していると、これだけ魅力のある路面電車を何とかして残せなかったのかと感じた。一人一人が社会の動きに興味を持ってもらえれば、よりよい未来につながるのでは。珍しい当時の電車機具や資料も多く展示している。実際にご覧いただき、その歴史を感じてもらえれば」と来館を促す。

 開館時間は9時30分~17時30分。第2・4月曜休館。入館無料。4月3日まで。

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