神楽坂の老舗日本料理店特設舞台で名作「高野聖」 鏡花ゆかりの「うを徳」で

朗読劇の会場となった神楽坂「うを徳」の玄関先

朗読劇の会場となった神楽坂「うを徳」の玄関先

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 神楽坂の老舗日本料理店「うを徳」(新宿区神楽坂3)で1月23日・24日、朗読劇「鏡花を追ってプロジェクト企画 嵐山光三郎プロデュース公演 泉鏡花を劇団唐組が読む!『高野聖(こうやひじり)』」が開催された。

神楽坂「うを徳」萩原かをるさんと「龍公亭」飯田公子さん

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 「うを徳」は、明治の初め八丁堀の魚屋萩原徳次郎が神楽坂に根を下ろし、仕出屋「魚徳」として創業。初代徳次郎は、神楽坂に所縁(ゆかり)の深い明治の文豪泉鏡花におとこ気と料理を愛され、鏡花作品「婦系図」に登場する江戸前の魚屋「めの惣」のモデルとなった。後に日本料理屋を開く際にも、ひいき筋への開店披露状を鏡花が書くなど深いなじみがある。

 今回、そんな鏡花ゆかりの同店特設舞台で名作「高野聖」が公演されるとあり、大きな反響を呼んだ。プレイガイドなどでの一般発売はなかったが、チケットは早々に完売。再演を希望する声が多く寄せられているという。

 「鏡花を追ってプロジェクト」は、民間レベルで神楽坂と金沢をつなごうと北國新聞社(石川県金沢市)の呼び掛けで始まった。作家の嵐山光三郎さんが、ひいきにしている神楽坂の老舗中華料理店「龍公亭」の飯田公子さんに協力を仰ぎチームを結成。「金沢おどり」や「神楽坂をどり」を互いに見物し合うなどして交流を深めている。「金沢と神楽坂は街の雰囲気が似ているところがある。金沢生まれの鏡花が神楽坂で暮らしたのも、そこに引かれたのでは」と飯田さん。「今回のような取り組みを通じて、神楽坂で生きた文化を感じてもらいたい」とも。

 「うを徳」おかみの萩原かをるさんは「鏡花先生と初代徳次郎の楽しそうな会話や息づかいが見えるようだった。新派の水谷八重子さんの『婦系図』しか拝見したことがなく、今回の唐組の皆さんと、鼓や義太夫三味線、チェロが一体となった朗読劇には新鮮な驚きと感動があった」と笑顔で語った。

 出演は、リーディングが劇団唐組から久保井研さん、稲荷卓央さん、藤井由紀さん、福本雄樹さん。語りと鼓が福原千鶴さん、チェロが四家卯大さん、義太夫三味線が田中悠美子さん。構成・演出は、桑原茂夫さん。宣伝美術は南伸坊さんが手掛けた。

 チケットは、「うを徳」自家製「まぐろの角煮」のおみやげ付きで5,000円だった。

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