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三番町に「熟と燗」、オープンから半年 熟成日本酒文化を学ぶ場に

「熟と燗」店主の上野信弘さん

「熟と燗」店主の上野信弘さん

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 バー「熟(じゅく)と燗(かん)」(千代田区三番町、TEL 080-8015-5274)が三番町にオープンして、12月3日で半年がたった。同店は日本酒を熟成させた「熟成酒・古酒」を専門に取り扱うバー。

「熟と燗」取り扱う熟成酒の一部

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 店主の上野信弘さんは約20年にわたり、熟成酒バーを経営してきた。「熟成酒の需要が少しずつ高まってきていることから、バーとしての役割のほかに販売店でもありながら、セミナーを開いたり同じ飲食店を巻き込んだりできるような場所を作りたいと思い、新たに店を開いた」と話す。

 熟成酒の価値創造やブランド化に取り組む「刻(とき)SAKE協会」の常任理事も務める上野さん。同協会は2019年に設立され、熟成酒を広める活動は国税庁の「日本産酒類のブランド化推進事業」にも選定された。今年2月、業界発展のため「指定の倉庫で10度以下の貯蔵温度帯で熟成させたものを『熟成酒』、11度以上の貯蔵温度帯で熟成させたものを『古酒』」と定め、現時点での評価基準なども発表した。

 江戸時代ごろまで日本で珍重されていたという熟成酒だが、歴史の中で徐々に姿を消していった。「質の高い米と水、酒蔵の醸造技術に加え、長く時間をかけることで奥深い味わいを持つ熟成酒になる。経済発展が難しく、各酒蔵が独自で造り細々と守り続けてきた貴重な酒でもある」とも。

 取り扱う酒は、10年以上熟成させた「熟露枯(うろこ)」「月の桂(かつら)」、1997(平成9)年の純米吟醸「天寿(てんじゅ)」など。熟成酒の特徴について、上野さんは「フレッシュな日本酒とはまた異なる、複雑な重層感。ゆっくりと口中に含み、まろやかさや奥行きのある芳醇な味わいを探るイメージ」と説明する。

 熟成酒を求めて来店する客も増えているという。「以前より目的買いの方は増えた。そうはいっても、まだまだ知られていないのも事実。『好みに合うか、どうやって飲むのかわからない』と思うかもしれないが、さまざまな提案や、より楽しく味わえる飲み方なども説明させていただく。まずは足を運んで、実際に飲んでいただきたい。バーの利用はもちろん、熟成酒や古酒の購入だけでも可能。ぜひ立ち寄っていただければ」と来店を促す。

 営業時間は、15時~18時、18時~21時の2部制。火曜・水曜定休。

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