神楽坂毘沙門天善国寺書院(新宿区神楽坂5)で4月7日、「神楽坂毘沙門寄席 菊之丞の会」が2年ぶりに開催された。
2005(平成17)年11月に始まった同イベント。1971(昭和46)年に再建された毘沙門天善國寺にしつらえられた舞台で、四代目三遊亭金馬さん(現在の三遊亭金翁さん)が定例落語会を始めて以来、さまざまな落語会が催されてきた。「落語の街・神楽坂」の伝統を受け継ごうと始まったのが、古今亭菊之丞さんが高座をつとめる「毘沙門寄席 菊之丞の会」だという。原則、春・秋・冬に「菊之丞の会」を開き、夏は「神楽坂落語まつり」として落語会を行っている。
今回の公演について、古今亭菊之丞さんは「ずっと中止・延期だったので、やっと『ホーム』に帰ってこられたという気持ちが強い。客席の人数は制限されながらも、多くのお客さまにお越しいただけたことに感謝と喜びを感じている。初回から17年、年3~4回のペースでやってきた。座敷で生声のスタイル、つまり昔の寄席の風情が残っているのは毘沙門寄席だけ。高座へ上がると、以前の本牧亭や池袋演芸場を思い出す。この雰囲気を大切に、これからも『粋なまち神楽坂』でおしゃべりしていきたい」と話す。
NPO法人「粋なまちづくり倶楽部」の日置圭子さんは「毘沙門天書院が密になってしまう空間のため2年間中止していたが、今回開催するに当たり感染対策に配慮して、これまでの6割程度の定員で開催にこぎ着けられて本当にうれしい。中止している期間にも常連さんに『まだやらないのですか?』『再開されたら必ず行きます』と言っていただくなど、待ち望まれての再開は感動的。菊之丞師匠が高座に上がり、まず『ホームグラウンドに帰ってきました』とおっしゃってくださったことが本当にありがたく、これからもこの会をしっかり続けていきたいと新たに決意した」と話す。