村上春樹さんの最新長編小説「1Q84」が7月23日、「BOOK1」「BOOK2」の2巻ともに100万部に達する「ダブルミリオン」を達成した。
新潮社(新宿区矢来町)の発表によると、7月8日の16刷でBOOK1=114万部、BOOK2=93万部となり2冊の合計が200万部を突破。7月16日に17刷を行い、7月23日の18刷でBOOK1=123万部、BOOK2=100万部となり、2巻ともに100万部に。文芸書では異例のスピードともいえる発売後わずか56日目での達成となった。
「通常ミリオンセラーには早くても3~4カ月かかる」と同社広報宣伝部の町井次長。購入者については「これまで村上さんの本は男女半々くらいだったが、大手書店などのデータを見ると今回は約6割が女性で、特に30~40代の女性が中心となっている。また、『1Q84』発売後の『ノルウェイの森』や『海辺のカフカ』などの売れ行きを見ると、同書で村上作品に初めて触れた読者が他の作品を、との購買行動が読み取れる」と話す。新規読者の獲得が見受けられる一方で、「お盆休みなど休暇中にゆっくり読むためにとりあえず購入するなど、まだ本を開いていない、いわゆる『積読(つんどく)』派も結構いるようだ」とも。
発売以後、いまだにBOOK1の販売数がBOOK2の販売数を上回るという勢いのある状況が続いている同書。「1Q84」の読み方など同書を題材にした周辺本の発売や、同書内に登場したクラシック曲が突然売れ始めるなどの事態も招いている。「1Q84現象」――その余波はまだ続きそうだ。