市谷小学校、各学年で「新聞」教育-「言語力」低下の歯止めに

「言語力」育成に活用が期待される新聞教育

「言語力」育成に活用が期待される新聞教育

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 創立100年を超える歴史を持つ区立市谷小学校(新宿区市谷山伏町)は現在、授業の一環として「新聞教育」に取り組んでいる。

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 同校は「生きる力を培う環境教育」を教育テーマのひとつに掲げ、昨年度から本格的に取り組みを始めた新聞づくりや新聞を活用した教育を通じて情報の「収集力」「分析力」「表現力」を培い、環境教育へのプロセスとして役立たせている。

 昨年11月、東京都小学校新聞教育研究大会の開催校となった同校は、「情報を集め、選び、伝える力を育む新聞教育-環境教育を通じて-」というテーマのもと公開授業を実施。「環境」をメーンテーマに、各学年に応じた内容の新聞作りを行い教育関係者の注目を集めた。

 1年生のクラスでは、新聞の中から動物の写真を見つけ切り抜き、動物の名前を書いて紙に貼り付ける授業を、5年生のクラスでは、これまで取り組んできた環境教育をもとにした新聞の見出しやレイアウトなどを話し合う編集会議を行うなどレベルの高い授業が展開された。

 同校の小瀬副校長は「今は環境について知ること・調べることの段階だが、知ったことを通して『新宿区では、自分たちの地域ではどうなんだろう』『家庭や自分は何ができるんだろう』という次のステップに進めていきたい」と今後の課題について意欲を見せる。新聞教育によって、「新聞を意識して読むようになったという生徒や、新聞で知ったことをきっかけに何かを始めるなどの効果が表れ、教員たちの新聞に対する意識も高まった」(小瀬副校長)と話し、「学校全体として新聞教育に取り組んでいるのは数少ないのでは」とも。

 経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査(PISA)2000年」によると、子どもたちの総合読解力と新聞の閲読頻度に相関関係があり、「読解力向上に新聞は有効」との傾向は日本だけではなく世界的にも表れている。

 子どもや若年層の活字離れや総合的なコミュニケーション能力の低下が叫ばれて久しいが、文部科学省の新学習指導要領では「言語力の育成」が大きな課題となっており、新聞から情報を見つけ、分析し、自分の考えを持って発表することによって「語彙(ごい)力」「読む力」「考える力」「まとめる力」「伝える力」を高めるなど言語力の育成を図ることに役立つとされている「新聞教育」の果たす役割は大きいと考えられる。

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