都会の銭湯、「皇居ランナー」でにぎわう-周辺居酒屋に好影響も

分譲マンションの1階に入居する銭湯「バン・ドゥーシュ」

分譲マンションの1階に入居する銭湯「バン・ドゥーシュ」

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 オフィスや官公庁などが集まる千代田区にある銭湯「バン・ドゥーシュ」(千代田区麹町1、TEL 03-3263-4944)では、皇居を周回するランナーによる利用が急増、周辺の居酒屋などにも好影響を及ぼしている。

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 分譲マンションの1階に入居し25年間営業を続ける同湯は、皇居に最も近い銭湯として「皇居ランナー」たちに知られている。「東京一狭い銭湯」と称される同店の浴槽は大人4人が限度の広さだが、銭湯にしては珍しくボディーソープとシャンプーを完備。同マンションに入居する際、銭湯を連想させる店名を付けてはマンションが売れないだろうという理由から、仏語で「シャワー」や「浴びる」を意味する「バン・ドゥーシュ」と名づけた。

 同店の利用者の多くは周辺で働く「皇居ランナー」で、脱衣所でウエアに着替えロッカーに荷物を預けてランニングに向かい走り終えると銭湯に戻り入浴する。現在では「ランナー利用者」が銭湯本来の「入浴のみの利用者」を超えている状況だといい、フロントで料金を支払う際には「走りに行くのか」「風呂に入るのか」を問う不思議な会話を耳にすることも。

 開業当時からランナー利用者はいたというが、数年前から徐々に増え始め今年2月に開催された「東京マラソン」参加者の抽選結果が出た昨年秋からは急増。そのため同店では昨年末に拡張工事を行い蛇口の数を約2倍に増やした。

 同湯が持つ「走り終えたランナーのシャワー施設」という側面は、「風呂上りの一杯」につながることもあり、周辺飲食店にも好影響を及ぼしている。半蔵門駅のそばで9年前から営業を続ける居酒屋「炭や」(一番町)では、周辺で勤務するビジネスマンらに加え、ランニングを終え、ビールなどを楽しむランナーの姿も多くなった。ここ数年、女性ランナーの来店も増えているという。女将の飯塚直美さん自身も「皇居ランナー」の一人で、東京国際女子マラソンへ出場するほどの実力を持つ。

 今年に入りランナーのためのシャワー施設「ランナーズステーション」(神田神保町)や「ハイテククラブ」(神田神保町)などが相次いで開業し、「皇居ランナー」の増加にますます拍車がかかることが予想される。

 バン・ドゥーシュの営業時間は、平日=15時~24時、土曜=14時~24時。日曜・祝日定休。料金は430円。

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