出版取り次ぎ大手のトーハン(新宿区東五軒町6)は11月29日、首都圏の電車内での「読書」事情の調査結果を発表した。
調査は、1986、1988、1997、2004年に続いて5回目。調査期間は10月24日~10月31日の8日間で、調査員が首都圏のJR、私鉄、地下鉄各線の電車内での過ごし方を項目別にカウントする方法で、延べ15,227人について調査を行った。
項目は「新聞」「書籍」「雑誌」「フリーペーパー」「居眠り」「電子端末(携帯電話を含む)」「仕事・勉強」「ゲーム機器」「ヘッドホン・ラジオ」「イヤホン」「その他」。今回の調査では、「読書率が上昇」「文庫人気」「雑誌は若年男性、携帯は若年女性」「居眠りが最多に」などの傾向が見られた。
「書籍」を読んでいる人の割合(=読書率)は全体の16.3%で上昇傾向にあり、前回(2004年)との比較では4.3%上昇。そのうち文庫本を読む割合が10.9%で、混んだ車内でも読みやすく、持ち歩きに適していることから文庫本の読書率が上がっている。
男女で比較すると、「雑誌」を読む人の割合は、女性が1.9%で男性が5.1%、「新聞」を読む人の割合は、女性が1.9%で男性が11.6%とそれぞれ男性の割合が高くなった。反対に「携帯電話」を使用する人の割合は、男性は12.9%で女性が20.7%。年代別でも20歳未満の女性は26.7%と最も割合が高く、ケータイ小説のヒットを支える若い世代の行動パターンを示す結果に。
第1回の調査以来、最も高くなった「居眠り」をする人の割合は21.9%。「日本人の睡眠時間が減少傾向にあるのと対照的に『居眠り』の割合が上昇傾向にあることから、現代人の睡眠不足を反映した結果」であると同社は分析している。
今回の調査結果から、「携帯電話を含む電子機器」が10年前に比べて10倍以上の割合に、iPodなどの携帯音楽プレーヤーの普及による「イヤホン」の割合も伸びるなど、電車の過ごし方にも時代の移り変わりが反映される結果となった。