毎日全生徒に会える牛込一中の「全校給食」-団体行動や時間管理の体得も

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 牛込神楽坂に近い新宿区立牛込第一中学校(新宿区北山伏町)は1968(昭和43)年の給食スタート以来、全校生徒と全教員が体育館で一緒に食べる「全校給食」を行っている。

1972年当時の全校給食

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 現在の生徒数は305人。4時限目終了のチャイムとともに、体育館に給食担当の生徒と教員が集まり、人数分のテーブルと椅子を並べる。調理室は体育館と直結しており、給食は調理室から体育館へ直接配膳。集合した生徒たちはセルフサービス方式で順番に給食を受け取り、テーブルに運ぶ仕組みとなっている。

 「本校は新宿区内で最も古く、校内の設計上、給食を各教室にワゴンで運ぶことができません。そのため、体育館で全校生徒が給食を食べることになりました。また、給食を共にすることで、生徒同士の交流を促進するという目的もあったと聞いています」と話すのは同校の武部誠校長。第二次ベビーブームの時代には600人近くもの生徒が一緒に給食を食べていたが、それでも不満を訴える生徒はいなかったという。

 「一見すると不便に感じる人もいるかも知れませんが、生徒たちが集団行動を学習できますし、学校全体にコミュニケーションが生まれるいい習慣になっています。東京都でただ一校、全国でも珍しい形式で、他の学校では体験できないことから、この全校給食をきっかけに本校への入学を希望する家庭もあるようです」

 新入生は全校給食に慣れないため、入学してしばらくは戸惑い、手際よく行動することができないが、上級生たちを見習い一学期の終わりには自発的に準備や後片付けに参加できるようになるという。生徒同士が先輩・後輩関係なく協力し合い、わずか40分の給食時間で、準備、後片付け、清掃を終わらせる手際の良さは同校の自慢の一つでもある。

 「準備や後片付けに時間がかかり過ぎると、その後の昼休みが少なくなってしまう。また、午前中の授業が長引いたりすれば、給食の時間が短くなる。生徒たちは全校給食をすることで、一日の時間管理を気にするようになります。全校給食が生徒の生活全体にいい影響を与えているようです」と話す武部校長。「時代が変わっても、この伝統は引き継いでいきたい」とも。

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