野村不動産(新宿区)が11月13日に都市型商業施設「GEMS(ジェムズ)市ヶ谷」(千代田区六番町)をグランドオープンしてから1カ月余り。同社が当初設定していた売り上げ目標の110~120%を達成するなど、好調な滑り出しを見せている。
GEMSシリーズのテーマは、「周辺のオフィスワーカーや住民などに新たなライフスタイルの提案」。2012年10月創業の「GEMS渋谷」に続く第2弾となった同施設は、今まで市ケ谷・飯田橋・四ツ谷に出店していなかった10店舗の飲食店をテナントに選定している。
同シリーズが今回進出した市ケ谷について、同社都市開発部の中村泰士さんは「企業の本社ビルが数多く立地し、周辺の番町エリアは高級住宅街として知られ居住人口も多い。しかしながら、まとまった飲食店を含む商業施設が少ない場所だった」と指摘。「だからこそ『GEMS』に集う飲食店によって、にぎわいを創出できるポテンシャルがある街だと認識した」と語る。
同社では用地取得の過程において、市ケ谷の飲食店数の人口比率を調査。「平成21年度経済センサス」と、「平成26年1月1日付の東京都住民基本台帳」を基に作成したデータによると、市ケ谷は就業人口・居住人口合わせて5万6000人に対し、飲食店数は160店。単純計算で1店舗につき350人の飲食ニーズがある換算。一方、市ケ谷同様に企業数が多い新橋1~6丁目では、就業人口・居住人口合わせて6万4000人に対し、飲食店数は1285店。1店舗につき50人の飲食ニーズの換算で、新橋と比べて市ケ谷は7倍もの「飲食店過疎」であることが浮かび上がった。
同シリーズ第3弾となる「GEMS大門」(港区芝大門1)は、2016年春のオープンを予定している。大門・浜松町エリアも企業数が多く、休日は東京タワーや芝公園などの来街者でにぎわうエリア」と中村さん。「寺社にも近い立地のため、これまでと違って和のテイストも取り入れた外観を検討している」とも。