雪印乳業(新宿区本塩町)は8月29日、「乳・乳製品の未来像を探る」と題して行われた日本酪農科学シンポジウムでチーズに関する研究成果を発表した。同社技術研究所札幌研究所に所属する木村彰さんによる研究発表の演題は「Lactobacillus helveticusを用いた健康効果を有するゴーダチーズの開発」。
発表内容は、チーズの製造・熟成中にうま味とともに増える苦味をいかに抑えるか、というもの。チーズの熟成中に生成されるアミノ酸は、チーズのうまみに大きな役割を果たすが、従来の方法ではうま味を増加させると同時に苦味を有するペプチドも増加し、チーズの風味を損ねるという問題があった。
同社は乳酸菌の中から、苦味ペプチドをうまみ成分であるアミノ酸まで分解するペプチダーゼ活性の高い菌株「Lactobacillus helveticus SBT2171株」(ラクトバチルス ヘルベティカス株)を選抜し製造・熟成を行ったところ、グルタミン酸やアスパラギン酸などのアミノ酸の総量が同社通常のチーズの約3倍含まれ、芳醇な味わいが得られることが分かったという。
同社はさらに、同菌株を用いて製造したゴーダチーズに、糖尿病や内臓脂肪蓄積の抑制や抗酸化作用に対して活性を持つ成分を確認し、メタボリックシンドロームに対する予防効果の可能性があることも明らかにしている。
同社では、この研究を基に「雪印北海道100芳醇ゴーダ」として商品化。今年3月の発売以降、同社の人気商品のひとつになっている。