凸版印刷が運営する「印刷博物館」(文京区水道1、TEL 03-5840-2300)で現在、「グラフィックトライアル2023」が開催されている17回目を迎える同展は、「グラフィックデザインと印刷表現を追求した」ポスター展。新しい表現を模索し、毎年異なるアーティストが参加する。
今年の参加クリエーターは、グラフィックデザイナーの木住野彰悟(きしの・しょうご)さん、村上雅士さん、島田真帆さん、夫婦で3GのCG制作を行う「TELYUKA」の4組。凸版印刷のプリンティングディレクターと協力し、それぞれのデザインアイデアと印刷表現の可能性を探る。テーマは「Feel」。企画担当の中村仁美さんは「先行きが不透明な時代であっても、私たちはより健やかに、前向きに、ウェルビーイングであり続けたい。今を生きる人々に寄り添うようなデザインのポスターを、クリエーターが5点ずつ制作した」と話す。
展示作品は、工業用のミラーインキ使い、鑑賞者と周りの環境の融合を狙ったポスター、偏向パールインキや刷り重ねの印刷技術を活用した淡いトーンのデザインなどさまざま。アップサイクルをテーマに廃材を活用して紙を作ったポスターや、CGバーチャルヒューマン「Saya」を高彩度なインキで表すなど、現代を意識したポスターもある。
初の試みとして、図録やポストカードなど5種類の公式グッズを展開したほか、「印刷現場のリアルな雰囲気も体感してほしい」という思いから、実際に印刷工場で使われている「パレット」と呼ばれる木製荷台をテーブルとして使う。
中村さんは「コロナ禍を経た今、改めて外に出て『感じる』ことの大切さを伝えたい。各アーティストがデザインするポスターは印刷技術を駆使し、メッセージ性も含む。足を運んで実際にご覧いただくことで何かを感じていただければ」と呼びかける。
開館時間は10時~18時。月曜休館。7月9日まで。