矢来能楽堂(新宿区矢来町、TEL 03-3268-7311)が現在、客席椅子改修工事のためクラウドファンディングで寄付を呼び掛けている。期間は10月29日までで、目標金額は50万円。
矢来能楽堂は1952(昭和27)年に再建され、2011年には国の登録有形文化財にもなった。「現在の客席椅子は30年以上前のもので、現代人の体格には合わなくなってしまった」と矢来能楽堂を所有する「観世九皐会(かんぜきゅうこうかい)」担当者。
「『客席が狭い』『長い時間座っているのが辛い』といった理由で能を見なくなってしまった客もいる。2時間近い演劇を見てもらうには厳しい環境。未来に生き続ける芸能の発信拠点として、今後も末永く、この能舞台を使い続け、より多くの人に能を見てもらいたいという思いから、大規模な客席改修を行うことにした」という。
能楽愛好者や常連客からのみ寄付を募るのではなく、今まで能楽に縁遠かった人にも能楽堂の存在を知らせ、能楽の振興という趣旨に賛同してもらえる人から広く寄付を募りたいと考え、クラウドファンディングという方法を採り入れた。
必要な総客席改修工事費用は2,000万円。今回の目標金額は50万円としているが、クラウドファンディングの最終目標は総費用の1割である200万円だという。
寄付した金額により、11月1日に開催されるワークショップ「はじめての矢来能楽堂」や観世九皐会主催公演への招待などの「リターン」も用意。「矢来能楽堂へ来てくださる皆さんに少しでもよい環境で能楽を楽しんでもらいたい」とツイッターなどにも情報を掲載し支援を呼び掛ける。