都内有数の桜の名所として知られる千鳥ケ淵緑道に12月4日、岐阜県指定天然記念物である高山市荘川町の「荘川桜(しょうかわざくら)」の2世が植樹された。
荘川桜は、1960(昭和35)年に御母衣ダム建設によって湖底に沈む集落内から、ダム建設を進めていた電源開発(J-POWER)の初代総裁高碕達之助氏らによって移植され、奇跡的に蘇生した樹齢約500年のアズマヒガンザクラ。今年で移植50周年になるこの桜は、桜を愛する多くの人たちの熱意と愛情により、今も大切に守り続けられている。
高山市では、荘川桜移植に込められた思いを発信するため、地域住民が全国各地へ荘川桜2世の植樹を進めており、今回、千代田区が受け入れた。植樹されたのは、高さ約6メートル、幹回り約40センチ、樹齢約10年の1本の桜。12月が桜の植樹に適した時期であることから、千鳥ケ淵緑道の内堀通り側入り口付近にシンボル的に植樹された。
千代田区は「さくら」を区の花とし、毎年3月~4月の開花時には千鳥ケ淵周辺を会場に「さくらまつり」を開催。老朽化した桜の再生に力を入れるなど桜に関する観光や保全事業を展開している。両区市は、千鳥ケ淵から荘川桜を全国に発信することにより、共に観光振興につなげたいと期待を寄せ、来年3月下旬に開催する「さくらまつり」期間中には植樹記念式を予定している。