![「牛込消防署」田中智子署長](https://images.keizai.biz/ichigaya_keizai/headline/1738919855_photo.jpg)
東京消防庁牛込消防署(新宿区筑土八幡町)が制作したポスターが現在、神楽坂エリアの自治会などに掲出されている。同署は、地域の文化を生かしたポスターを通して、地元住民や関係者に火災予防と救急車の適正利用を啓発している。
ポスターは、神楽坂の芸者が消火器の取扱訓練を行っているデザインと、芸者が「#7119」へ連絡しているデザインの2種類。今回のポスター制作の背景には、10年前に制作されたポスターがあったという。第50代署長の田中智子さんは、「第44代署長が『周辺エリアの特色や歴史を生かし、地域との連携を強めたい』と考え、神楽坂の芸者さんと兵庫横丁のデザインを起用した。今回のポスターはその復刻であり、新たにQRコードなどを加え、消火器の取り扱い方法をより広く普及させるものとなった。10年前のポスターも話題になったが、今回も多くの方に目を止めていただき、写真を撮る歩行者の方もいると聞く。皆さんに親しみを持っていただいているようで大変うれしい」と話す。
「今回初めて作成した」という救急車の適切利用を啓発するポスターでは、実際の神楽坂芸者の稽古場を撮影場所に、救急相談ダイヤル「#7119」を利用するシーンを取り上げた。2007(平成19)年に導入された「#7119」ダイヤルは、救急車を呼ぶべきかどうか迷った際、医師や看護師に相談できる重要な窓口。軽い症状でも適切なアドバイスを受けられることから、その認知度が高まっている。田中智子署長は「年々増加する救急需要に対応するため、救急車の適切な利用には皆さまの協力が不可欠。ポスターで示されているように、緊急かどうか迷った場合には#7119ダイヤルを活用してほしい」と呼びかける。
来年で開所100周年を迎える同署は「まちを守り、歴史を守る」をスローガンに掲げ、地域防災力のさらなる向上を目指す。田中署長は「江戸時代、牛込地域は火災が多く、消防組織『定火消(じょうびけし)』発祥地でもあった。長い歴史の中で防火・防災が強化され、当署も来年で100周年を迎える。現在では皆さまの協力もあり、区内でも火災数が少ないエリアとなった。これからも地域との絆をさらに強め、防火・防災力のさらなる向上を図りたい」と意気込む。
3月1日には、6年ぶりに「牛込ファイヤーフェスタ」も同署で開催予定。地域住民を対象に、普段見ることのできない緊急車両の車内や署内の施設なども公開する予定。「防火・防災を身近に感じていただき、次世代を担う子どもたちにも地域防災の重要性を伝えていきたい。近隣の皆さまにはサイレンなどで迷惑をおかけすることもあるが、緊急時の命を守るための活動であることを理解いただき、変わらぬ協力をお願いできれば」と話す。