神楽坂通りから一本入った地蔵坂にある手焼きせんべい店「神楽坂地蔵屋」(新宿区袋町、TEL 03-3235-0211)が販売する新商品「シフォンケーキ」が隠れた人気商品となっている。
76歳の「看板娘」渡辺和枝さんと長女の馨さんが切り盛りする同店は2010年8月にオープン。もともと自宅のガレージだった場所を改装し、無添加の素材と昔ながらの作り方にこだわった手焼きのせんべいを販売している。
「母と2人で店をやりたかった」という馨さんが、食中毒の心配がいらず日持ちするものをと考え行き着いたという「せんべい店」。「友人がせんべい屋だったため、仕入れ先などの協力を得られたことが『開業』というハードルを低くしてくれた」と話し、数十軒回って探し求めた2軒から仕入れた生地を紀州備長炭で一枚一枚手焼きする。
シフォンケーキの発売について、「せんべいの顧客だけではコマーシャルが弱かった」と馨さん。「せんべいの顧客ターゲットは年配の方が多く、神楽坂通りから一本入った場所にある店までには坂を登らなければならない。知っていただけたらそれなりに支持していただけると思っていたが、せんべいを支持してくださるのはネットや口コミには不得意な年齢層の方だった」。
一人でも多く、中でも若い女性の顧客を獲得するため、昨年11月にせんべいの購入客に試食してもらい好評だった「シフォンケーキ」を新商品として採用。昨年12月18日より販売を開始した。シフォンケーキの製造は馨さんが担当。材料にこだわり、オーガニック素材やコレステロールを下げる特定保健用食品の油を使ってなるべくカロリーを控えめに仕上げたという商品は、シンプルな味とフワフワ感が特徴。店頭看板での告知のみで大きな宣伝は行っていないものの、「年配の方のファンが多く売り切れになる日もある」という。
価格は、カット=280円、中ホール=2,000円、大ホール=2,800円(以上プレーン)。余裕があるときに販売するというココナツ、チョコ、マーブルは、カット=350円、中ホール=2,600円。
今後について、「基本は手焼きせんべい屋。製造業にこだわりたいが量産できないのが悩みの種」と馨さん。2月にはソフトクリームの販売も始め、手焼き体験や夏休みの子ども向けの企画も予定しているほか、現在はバレンタインデー向け商品としてハート型のせんべいを数量限定で販売。さらなる若い女性客の獲得を図る。
営業時間は10時~(日曜・祝日は12時から、なくなり次第終了)。火曜定休。