ハロウィン期間中に毎年、多くの来訪者でにぎわい、同時にトラブルも多く発生する渋谷と新宿の2大繁華街。去年の渋谷区長に続き、今年は新宿区長も「ハロウィンに来ないで」と訴えましたが、その効果はあったのか?
ジオテクノロジーズ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長 CEO:八剱 洋一郎)は、ハロウィンでにぎわう都内3エリアの人流を3年連続で調査、ハロウィン直前の週末(2024年10月26日、10月27日)に渋谷・新宿・池袋を訪れている人の数、どこから来ているのか、また昨年一昨年の調査と比較し、来訪者数がどれだけ増減しているかを分析しました。新宿の人出が去年と比べ12.4%も減少していることから、自治体の声掛けや取り組みが有効に届いている可能性があることがわかりました。
※ジオテクノロジーズの人流データは個人が特定できないように匿名化加工を施したうえで収集・分析しています。
調査でわかったこと
「ハロウィン目的で渋谷に来ないで欲しい」という渋谷区長からのお願いがあり、酒類の販売を自主規制した2023年の渋谷エリアでは2022年と比較して来訪者が37%減少、また区長が来訪を自粛するように呼び掛けた今年の新宿では、来訪者が昨年比12.4%減少しています。自治体による声掛けや規制の設定が有効であることがデータから読み取れます。
各エリアへの来訪者はそれぞれの駅にアクセスが良い地域から来ていることが多いと判明しました。
調査の背景
ハロウィンイベントが各地で開催され多くの人が楽しむ一方、騒音や渋滞、イベント後のゴミ散乱、安全管理などの問題が指摘されているのも事実です。そこでジオテクノロジーズは、ハロウィンの時期に特ににぎわう渋谷・新宿・池袋の各エリアについて、2022年から3年間の人流調査を開始しました。
2022年10月に韓国ソウルで発生したハロウィン群衆雪崩事故のような痛ましい事故の再発防止にも、今後取り組んでまいります。
各エリアの滞在者数の特性
エリアごとに2022年から3年間のハロウィンの週末のデータを比較すると、いずれの年も来訪者が最も多いのは渋谷エリアであったことがわかります。酒類の販売の自粛や区長による呼びかけなどが行われた渋谷は、2023年に来訪者が37%も減少しました。路上飲酒に関する条例が施行された2024年は2023年と来訪者の数に大きな違いがなく0.3%の微増で、渋谷区の取り組みが一定の効果を生んでいることが伺えます。
また、2023年の渋谷エリアの規制の影響で人が増えたと話題になっていた新宿エリアですが、ジオテクノロジーズのデータを見る限りだと大きく変化しておらず、渋谷エリアに合わせる形で路上飲酒に関する条例が施行され、区長による「来ないで」のお願いがあった2024年は前年比12.4%の減少となりました。街を挙げてハロウィンのイベントに取り組んでいる池袋エリアでは2023年は前年から13%減、2024年は7%減となっています。渋谷エリアや新宿エリアの来訪者の推移をみると、来訪を控えてもらうための自治体の取り組みが一定の効果を与えていることが伺えます。
各エリアの来訪者を年代ごとに見てみるとすべての年代がバランスよく来訪している池袋エリア、やや若者に偏っている新宿エリア、そして若者が半分以上を占める渋谷エリアという特性が見られました。
また、各エリアの来訪者の居住エリアを調査したところ、渋谷エリアは神奈川県から、新宿エリアは東京の23区外から、池袋エリアは埼玉県からの来訪者が他のエリアに比べて多く、各エリアそれぞれのアクセスの良い地域から訪れていることが分かりました。
■最後に
この3年連続の調査によって、2023年の渋谷の規制強化で、渋谷から新宿へ多くの人が流れるだろうという仮説や新宿の人が多くなったという感覚は誤っていたことがわかりました。ハロウィンに繰り出す人の全体数は減少傾向にあるものの、改めて渋谷がハロウィンの一番のホットスポットであると言えるでしょう。
また、自治体による規制や取り組みが来訪者数へ一定の効果を上げることもわかり、今後のイベント開催時の参考にして頂けたら幸いです。ジオテクノロジーズは、これからも人流分析の技術向上を行いながら、様々な課題の解決、社会貢献に取り組んでまいります。