飯田橋に「中華そば 辻（つじ）」（千代田区飯田橋3、TEL 03-6261-4210）がオープンして、6月15日で1カ月がたつ。同店は、今春46年の歴史に幕を閉じた飯田橋のラーメン店「びぜん亭」の味を引き継いだ中華そば専門店。

「中華そば 辻」店主の辻さん

　店主の辻岳郎（たけお）さんは、さまざまな形で20年以上飲食業界に携わってきた。辻さんは「料理人として1つの業界で長く修業してきたわけではないが、都度、集中して作りたいと思うものに全力で向き合ってきた。さまざまな人との出会いがあり今がある」と話す。2軒隣りの「鉄板居酒屋 お好みキング」を経営する傍ら、縁あって「びぜん亭」の弟子として修業を積んだという。

　自身の独立準備をしていた時に、びぜん亭の店主が引退を決めた。「タイミングが重なり、びぜん亭の味を引き継ぐ店として、多くのファンの方に認知いただいている。ありがたいと感じるとともに身が引き締まる思い」と話す。「オープンした日の最初の一杯は、びぜん亭の大将に作った。お墨付きを頂き、今でも仲良くさせてもらっている」とも。

　びぜん亭の大将は全ての材料を目分量で作っており、辻さんは怒られるのを承知で、量りを持参して正確なグラム数を記録したという。「今思えば、よく大将も許してくれたが、完全再現にこだわる弟子も珍しかったのでは」と当時を振り返る。

　チャーシューに使う豚バラ肉などはびぜん亭に倣い国産のものを使う。「コストはかかるが、安定した脂の甘さやコク、柔らかさを求めて国産を選んでいる」とも。麺はちぢれ麺でスープとの絡みも良いという。「当店の中華そばは飽きのこないシンプルな味で、食べるとどこか懐かしさを感じる。近隣の皆さんにもぜひ、気軽に足を運んでいただき、味わいを楽しんでもらえれば」と呼びかける。

　メニューは「ちゃぁしゅうそば」「（唐辛子入りみそ）もやしそば」「（塩）ねぎそば」（以上950円）など。

　営業時間は11時30分～22時（土曜は14時まで）。日曜定休。