四谷のたい焼き専門店「たいやき わかば」(新宿区若葉1、TEL 03-3351-4396)が3月29日で創業70周年を迎えた。
1953(昭和28)年創業の同店は、元々建具店だった初代が戦後に駄菓子店を始めたのがきっかけ。駄菓子の一つとしてたい焼きを売っていたという。4代目店主の伊藤巧真さんは「演劇評論家の安藤鶴夫先生が新聞コラムで当店を紹介いただいてから、店先に行列ができるようになった。今でも先生から頂いた言葉『たい焼きのしっぽにはいつもあんこがありますやうに』を社訓とし、創業時と変わらない味を守り続けている」と話す。
創業時に洋画家の木村荘八さんが贈った色紙から起こしたオリジナルの焼き器で一匹ずつ焼き上げる「たいやき」(190円)は、社訓通り、頭から尻尾まであんが詰まっている。いつからか「東京たい焼き御三家」と称されるようになったり、一匹ずつ焼き上げるスタイルが「天然物」と希少がられたりするようになったりするなど、歴史の中で変化を感じてきたという。
伊藤さんは「称号などに左右されることなく、当店は変わらず職人が一匹ずつ丁寧に焼くスタイル」と話す。たい焼きは「塩気の利いた北海道産小豆のあんとパリパリの薄皮が特徴」とも。尻尾には「わかば」の店名が記されている。
常連客も多く、親子3世代にわたり通う客もいるという。「当店のたい焼きを食べて育ったといわれる方も多く、皆さんの思い出の中に存在していることは感慨深い。これからも受け継いできた味を大切にしていきたい」と笑顔を見せる。
営業時間は9時30分~18時30分(祝日は18時まで)。日曜定休。