神楽坂に「杉工場」(新宿区横寺町、TEL 080-3375-2766)がオープンして1月25日で2カ月がたった。経営は同名の杉工場(福岡県うきは市)。同社は1886(明治16)年に体育用具商として福岡で創業した国産家具メーカーで、今回が初めての東京出店となる。
本社を構える福岡県うきは市は、明治時代から林業や製材業が盛んな歴史を持つ。創業初期に体育用具や学校机など製作していた際は、当時の文部省からの推薦も受けていたという。現在は無垢材の家庭用家具を製作・販売。担当する杉明乃さんは「創業以来福岡を拠点として経営してきたが、日本各地から『実際に家具を見たい』という声を多く頂いていた。縁が重なり、神楽坂に店を持つことにした」と話す。
同社の家具は無垢材を使った素材感が特徴で、デザインに合わせて木の種類を変える。「作る人と使う人の両方のことを考え」自然由来のオイル塗装を仕上げに施す。杉さんは「触り心地が良く、木の滑らかさを感じていただけるはず」とも。
店舗は1966(昭和41)年に建てられ、近年はアートスペースとして活用されていた「柿の木荘」を改装した。天井と壁に和紙を張り、店内は、庭土と福岡から運んだ土を混ぜて作ったという土壁にした。杉さんは「『柿の木荘』の雰囲気を生かしながら手を加えていった。この地に根付いていければと願いを込めて土壁にした。展示する無垢材の家具との相性を考え、店の持つ雰囲気も大切にする」と話す。店内奥のスペースは、杉の床材を使った小上がりスペース。日常生活をイメージしやすいようにキッチンの空間を再現し、実際に家具を設置した時の様子を演出する。
展示販売する家具は「K&K 1930 Japan Lounge Table」(22万円)、「K&K 1930 Japan Carpenter Bench」(16万5,000円)など。屋台用の椅子を復刻した長椅子や、学校椅子をベースにデザインした食堂椅子も人気という。「無垢材の家具は、一緒に暮らし育てていく感覚を持ってもらえれば。色や表面感の変化も味になる。私たちも長く時を重ねていくなかで生まれる『美しさ』を追求してきた。これからも芯の部分は変えず、時代に合わせて新しい取り組みをしていく」と笑顔を見せる。
営業時間は12時~19時。火曜・水曜定休。