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エリア特集2010-12-19

【特集】『ノルウェイの森』-原作の舞台を歩く
(四ツ谷~市ケ谷~飯田橋)

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2010年12月に映画が公開され、再び村上春樹氏の原作にも光が当たっている『ノルウェイの森』。1987年の発売から累計発行部数1,000万部を超える、まさに“国民的”ベストセラーと呼べる作品です。主人公ワタナベと直子の再会シーンで登場し、2人が歩く四ツ谷からの道のりは、“ハルキスト”ならずとも1度は歩いてみたいもの。今回、JR四ツ谷駅から市ケ谷、飯田橋へと続く2人が見たであろう風景を追ってみます。



※以降、青字は同書からの引用文

***


「僕と直子は四ツ谷駅で電車を降りて、線路わきの土手を市ケ谷の方に向けて歩いていた。」

2人の長い散歩の最初の描写です。スタートはJR四ツ谷駅。



麹町口を出ると左手に石垣が見えます。こちらの石垣の右側の道を進むと間もなく細い階段が現れ、「線路わきの土手」へと出ることができます。



小高い土手からは左手下に線路を見渡せ、中央線や総武線の往来を確認できます。2人も電車の行き交う光景を横目に進んだのでしょうか。



ちなみに土手の右側には、主要登場人物の1人、緑が通ったとされる雙葉学園が存在します。

「鮮やかな緑色をした桜の葉が風に揺れ、太陽の光をきらきらと反射させていた。」
「土手の向うに見えるテニス・コートでは若い男がシャツを脱いでショート・パンツ一枚になってラケットを振っていた。」
「並んでベンチに座った二人の修道尼だけがきちんと黒い冬の制服に身をまとっていて、・・・」


四ツ谷から市ケ谷へと続く土手にはたくさんの桜の木が自由にその枝を伸ばしています。2人がこの地を歩いたのは「5月半ばの日曜日の午後」。花が落ち、新緑が目にまぶしい季節です。

しばらく進むと、左手遠くに木々の隙間からテニスコートと野球場が見えてきます。腰をかけて線路方向を眺めながら休憩ができるベンチや大きな丸太の椅子が存在。ジョギングや犬の散歩をしている人たちなども見受けられます。



さらに歩を進めゆるやかな階段を下りると遊具施設のある小さな公園が現れます。ここで四ツ谷の土手は一旦終了。公園を出て左に折れアスファルトの道で市ケ谷駅へと向かうことになります。しばらく千代田区五番町の細い道を進むと通称「日テレ通り」にぶつかり、左手にJR市ケ谷駅が現れます。



駅前の交差点を斜め向かいにある交番がある方向へ渡り、交番右にある小さな公園へと入っていきます。こちらの公園には子ども用の遊具やトイレ、水飲み場などがあります。

「彼女は水飲み場の前で立ち止まって、ほんのひとくちだけ水を飲み、ズボンのポケットから白いハンカチを出して口を拭いた。」

同書内の描写では、水飲み場の表現は2人が歩き始めて15分以降だとわかります。四ツ谷の土手の終わりにも水飲み場がありましたが、時間的なことを考えると、市ケ谷駅前の交番横の水飲み場あたりが相応しい場所なのかも知れません。公園の左手下には線路に加えて外堀が顔を出し、市ケ谷のランドマークの1つである釣り堀「市ヶ谷フィッシュセンター」が見降ろせます。



ここからしばらくは左手に外堀を眺めながら、整備された遊歩道で飯田橋へと向かいます。少しすると右手には『家庭画報』などを発行する世界文化社、さらに進むと法政大学市ヶ谷キャンパスの「ボアソナードタワー」が現れます。この辺りの住所は千代田区富士見。かつて富士山を眺望できる場に付けられた「富士見」という住所は各地に見られますが、現在はほとんど見ることができない状況です。ここ千代田区富士見も同タワーくらいしか見えないと言われています。ワタナベと直子が歩いた時代設定は1968年前後。歩く方向とは逆になりますが、40数年前の2人の視界に富士山は入ったのでしょうか。

市ケ谷から飯田橋へと続く土手も桜の名所として有名です。立派な大木を避けるような道づくりも行われています。毎年花見シーズンには法政、上智の学生や、近隣の会社員など多くの人たちでにぎわいを見せます。外堀通り側にもたくさんの桜の木があり、満開時には両サイドから堀に覆いかぶさるような絶景を楽しむことができます。

右手に東京逓信病院が現れる頃には、左手奥に倉本聰氏脚本のドラマ「拝啓、父上様」などでも登場した人気の水上レストラン「カナルカフェ」が見えてきます。



同レストランを運営する東京水上倶楽部は東京で初めてできたボート場で90年以上の歴史があります。同書では2人が歩いた日曜日の午後はあたたかく、散歩の途中「僕は厚い木綿のシャツを脱いでTシャツ一枚になった」との描写もあり、おそらくこの日、たくさんのボートが水上に浮かんでいたのではないでしょうか。

しばらく進むと飯田橋郵便局前で外堀沿いの土手道が終わりを告げます。アスファルトの道を左手に行くと間もなく早稲田通りの交差点につながり、四ツ谷から飯田橋間の散歩のゴールとなります。


「彼女は飯田橋で右に折れ、お堀ばたに出て、それから神保町の交差点を超えてお茶の水の坂を上り、そのまま本郷に抜けた。そして都電の線路に沿って駒込まで歩いた。」

ここから2人は早稲田通りを右へと進み、田安門の「お堀ばた」から九段下を抜け、神保町へと向かったのでしょう。

「僕と直子は中央線の電車の中で偶然出会った。」
「降りましょうよと直子が言って、我々は電車を降りた。それがたまたま四ツ谷駅だったというだけのことなのだ。」

公開された映画では、再会や散歩の場所はアレンジされていますが、日本を代表する小説のシーンをなぞり歩いてみる、一興ではないでしょうか。

***








モデル:安井レイ(クオリアム所属)

原作『ノルウェイの森』、ワタナベと直子が歩いた土手はどこなのか?(市ケ谷経済新聞)

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