本殿の建て替えを終えた赤城神社(新宿区赤城元町)で8月31日、受験生の合格を祈願する螢雪天神の遷座祭が執り行われた。
螢雪天神は江戸中期、学問の神様としてあがめられている菅原道真公を祭り、新宿区横寺町に鎮座して「北野神社・朝日天満宮」と称されていたが、1876(明治9)年3月、赤城神社境内に遷座。1945(昭和20)年の戦災により焼失したものを2005年10月、横寺町に本社を置く旺文社が全国の受験生への合格祈願の守護神「螢雪天神」として同神社内に復興した。
老朽化による本殿の建て替えや敷地内へのマンション建設などを行う「赤城神社再生プロジェクト」に伴い、一時的に仮社殿へ移設されていた神霊を新しく建て替えられた本殿へ還す今回の遷座祭。日が落ちた夕刻から始まった祭儀には、旺文社の赤尾文夫社長をはじめ、役員、社員代表らが裃(かみしも)姿で参列し、宮司による修伐(しゅうばつ)、祝詞(のりと)の奏上、出御、入御が滞りなく執り行われ、約1時間をかけて遷座が完了した。
旺文社では、毎年受験シーズンに全国約100店舗の書店店頭に「螢雪天神 出張祈願所」を設置しており、そこに奉納された絵馬を螢雪天神に奉納している。暗闇の中、厳粛な雰囲気で行われる祭儀を旺文社社員や一般参拝者も見守った。
遷座祭は、赤城神社の700年の歴史の中でもわずか3回しか斎行されていない非常に珍しい神事で、先月22日には赤城神社の遷座祭が執り行われた。赤城神社では、9月17日に行われる年に一度の「例大祭」を今年は、本殿竣工奉祝を兼ねて斎行する。